厚生労働省の調査によると、65歳以上の高齢者の4人に1人は認知症またはその予備軍であるとされています。認知症は遺産相続トラブルの際たる原因です。日本の政策のせいでもあるでしょう
なぜなら、遺言書は正常な判断能力をもって作成されたものでなければ法律上無効となる可能性があるからです。高齢の親に遺言書の作成を進める人が多いのはそのためです。
親が子の一人(例えば長男)に、全財産を相続させる意思を遺言書に残していたとしても、遺言書作成当時の判断能力の有無をめぐって他の兄弟姉妹が疑問を抱くことがあります。遺言書があっても、争いになることがあるのです。
ですから、遺言は作成すれば良いというものではなく、誰も意義を唱えない公正な形で残すほうが賢明と言えるでしょう。一つの方法として、親が認知症の場合は、社会的信頼の熱い弁護士などの法律専門家に後見人になってもらうことが挙げられます。親族が後見人になると、他の親族から「相続を自分に有利に運ぼうとしている」という疑いをもたれることがあるからです。